映画「青い春」感想(※ネタバレ含む)

基本的に松本大洋作品は料理しにくいと思う。

世界観が完結しちゃってるので、
それを再現しようとし過ぎて、中途半端なものになるか、
ほぐして再構築しようとして、いいところをスポイルしちゃうか、
どちらか。

この映画はうまいことやったなあと。
原作、読んでないけど。

舞台は不良が集まる学校。
九條と青木の友情を中心に、
学校を愛する(あるいはもしかしたら憎悪する)生徒たちの物語。
乱暴に云えば、学校自体が主人公。

九條と青木以外のキャラ(雪男とか木村とか)を生かし切れてない点が気にはなった
(たとえば雪男が人を殺すシーンとか、もっといろんな痛みがあったと思うんすよ)
けど、作り手の思惑は想像できる。
あんまりそのへんを書き込みすぎると、中心にある、九條・青木の関係性が薄れるからね。

九條・青木の関係性はいいね。
別にBL好きじゃないけど、煙草をくっつけ合うシーンは愛を感じる。
青木が「(学校が)大好きなんだよ」て言ったシーンは
「(九條が)大好きなんだよ」ていうニュアンスもあったのかなあと。

それが最後の、「九條のできないことをやってやんよ」に繋がる。
九條のできないこと、というのは、
学校の不良たちのルールである「屋上から落下するまでに、手を何回叩けるか」という死のゲームで、
九條よりも多くの回数、手を叩くこと。

それから、大好きな学校にずっと残ること。
学校に影を焼き付けて、死ぬこと。

「幸せなら手を叩こう」ていう屋上のラクガキが凄いしっくりくる。
青木は九條よりも、幸せだったんだなって。

最後、きれいに終わったよね。
ある意味でのハッピーエンド。
「花は枯れるものではなく、咲くものだ。そう思うことにしてます」のセリフと同じように、
死ぬことも前向きに解釈したい。

大切なことだと思う。