「ミニチュアガーデン・イン・ブルー」(キリチヒロさん)読了

というわけで高梨來さん・黒井メラさんに続き、キリチヒロさん作品読了。
これにてBL三姉妹作品をビンゴしたことになります。
こののち自作の執筆に移っていきますが、
三姉妹作品の影響を色濃く受けた新作は
とんでもねー面白い内容になるであろー(▼▼メ

……といってもほぼ完成しててあとは手直しだけだし、BL表現はないですけども。

で、本題に戻って「ミニチュアガーデン・イン・ブルー」(キリチヒロさん)の感想。

この作品、読者からの感想がたくさんあったことを知っています。
文フリガイドの秋山さんも、文フリ大阪でお会いしたときに
「いま一番気になっている作品のひとつ」として挙げていましたし、
(なお本作は、秋の文フリガイドに掲載されます)
ツイッターなどで交わされる感想のなかでも、
本作の好意的な感想がたくさん上がっていました。

弊社が敬愛するみなもとはなえさんも感想書いていました。貼っていいのか。貼ろう。
http://sbrxsbr.blog.shinobi.jp/kansou/%E3%80%8C%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%80%8D%E3%80%8C%E6%BA%BA%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%82%E3%81%A8%E3%81%AB%E5%85%89%E3%82%8B%E8%89%B2%E3%80%8D%E6%84%9F%E6%83%B3

小説すばる新人賞一次選考作というのもあって、
ぜひ読みたかった作品のうちのひとつ。
というか、文フリ大阪で買ったもののなかで一番気になっていたかもしれない。

所感として。
すごく描写が精密やなあ、と。
風景描写はそうでもないんだけど、
登場人物の心の動きが細やかに書かれてる。
純文学を定義する言葉のひとつに
「誰もが何も考えていないようで、実はめっちゃいろいろ考えてる。それをしっかり書くのが純文学」
という言葉があるのですが、それに当てるならこれはエンタメ・大衆小説よりは純文学ではなかろうか。
そっちに活路を見出すなら、もとより良かった本作がもっと色彩帯びて輝くような気がしなくもない。
続編の「夏火」はかなりバージョンアップしていると聞いていますが、そっちも読んでみたくなる。

少年……少年のイデア像を考えるなら、少年ってほんま何も考えてないと思うんですよ。
だから本作に出てくるようなナイーヴな少年はそこからは離れた、云うなれば先天的にフェミニンな少年なんだと思う。
となると、少年同士好きになるという展開も自然なものだと思う。
少年を愛する少年って、良いとか悪いとかではなく、ある種のそういったやさしさを持っている。

「海」「夏」「田舎」「少年」……前述したみなもとはなえさんもこの辺の料理がうまい印象があるんだけど、
キリチヒロさんも良い。そういう町に特有のちょっとおかしな空気感が出てる。
僕の出身地もそうだったので、ノスタルジーを感じながら読みました。
読んでるとその町に自分がいるような気がしてきて、その囚われ感も気持ちいい。

一言で云えば、「綺麗な小説」。
田舎の海の波打ち際に落ちているエメラルド色のガラス玉みたいな、天性の輝き。
いいもの読んだ、し、続編の「夏火」に期待。