「湊屋の梢さんと居候の二階堂くん」by姫神雛稀、読んでみた。

先日「テキストレボリューションズ」というイベントがありまして!
当ブログでもちょいちょい紹介してた、文学系同人誌の即売会です。

ホームページはこちらね。
http://text-revolutions.com/event/textrevo

新しく始まったばかりのイベントですが、10月には2回目が計画されているとのこと。
このイベントの特長は「現場にいなくても本が買えちゃう」というところです。
ばばーん!

もちろん現場にいったほうがずっと楽しいんですけどね、作家さんと直接話したりして。
しかし遠隔地にいると、どうしても難しいもの。
それが「スタッフお買い物代行サービス」を利用することで、行かなくても買えちゃうんですよ……旦那……。

日本の実家を経由すれば、僕みたいに台湾からでも本が買えるわけですからね。
すごい!!!

……前置きが長くなりました。
というわけで台湾から本を購入することに成功したので、
読んだ本をちょいちょい紹介させてもらいます。

まず紹介するのはこちら。

春夏冬(あきなし)というサークルの、姫神雛稀さんという方が書かれている本です。
春夏冬は、大阪市立大学所属・文化的創作団体「文紡」の同窓会サークルみたいな感じらしいです。
2014年、文学フリマ大阪にてデビュー。

私はこのサークル、文学フリマ大阪のときには既に目をつけておりました。
なんで?て訊かれると説明が難しいですけど……「直感」ですね。
ふとしたときのちょっとした言葉遣いで、センスがあることは分かる。
逆はそうでもないと思うんですけどね、普段の言葉おかしいのに本書かせたらすごい人とかいるから。

ともあれその春夏冬の代表が、この本の作者、姫神さんです。

「テキストレボリューションズ」にはまだいいところがあって、
それは事前にどんな感じの文章を書くひとかというのを
アンソロジーの体をしたカタログで読めるんですよ。

で、そこで姫神さんの文章を読んで「ああ、文フリ大阪の人か、やっぱり面白いんや」と
改めて思い至り、今回購入させてもらったわけです。


さて「湊屋の梢さんと居候の二階堂くん」、
女将さんがいなくなった和菓子屋をどうにかきりもりするしっかりものの梢さんと、
そこに居候しながら和菓子屋を手伝うよくできた二階堂くんの話。
梢さんと二階堂くんは、高校の先輩・後輩でもあります。

これは僕の好みでもあるんですが、やっぱりキャラが生き生きしてる小説は良い。
そこに人がいて、考え、感じ、動いてるというのが物語ですもんね。
びっくりするような出来事はなくて、普通に、でもお互いを大事そうに、
支え合ってる関係が良い。
それでいいんだよね。そんなのがいいんだよね。

恋愛関係には決して発展しないのがやきもきしますな。
二階堂くん、もっとがんばれよー。
でもそこがいいんです。

青春というには素朴すぎてまだ早い、
田舎の高校生たちの時間。
味わえる、きらきらした小説です。