キャンディと王様

風邪を引いてしまいました。

連休初日から風邪を引くというあたりに
間の悪さを感じるというか、よわいおとこです。
ちなみにうちの地元では「間が悪い」の代わりに「マンが悪い」と云います。
なんだかよく分かりませんが、よく分からなさゆえにいい言葉だと思います。
よく分からんけど、マンとかいうよく分からないものが悪い。

というわけで家でのんびりしていますが、
「キャンディと王様」という小説のことを紹介させてください。
これは尼崎×草野球×少女をテーマにした野球小説です。


さかのぼること、もう10年ぐらい前、
私の路上ライブを見てくれた女の子二人組がいました。
そのふたりが私に、「キャンディと王様という曲を作って!」と言ったのです。
どうやら、女の子のひとりが「キャンディ」という呼び名で、
もうひとりが「王様」という呼び名らしかったのです。

その少しぐらい前に、私には野球の小説を書きたいという
ぼんやりした希望みたいなものがありました。
当時の構想としては、分かりやすく甲子園を目指す男子高校生の物語で、
BL(ボーイズラブ)で、ピッチャーとキャッチャーがピンチの時にマウンドで
キスをするという(今思えばそれはどうなんだという)シーンが構想としてありました。

それは、かれこれ10年近く持ち続けたストーリーでしたが、
作品にしようとは全く思いませんでした。
そもそも、当時は小説を書いていませんでしたし。
書かせるための何か強烈なパッションみたいなものが欠けていました。

それが、「キャンディと王様」という二人組に会った瞬間、
足りなかったものが降りてきたような気がしました。
尼崎をテーマに、「キャンディ」という女の子をピッチャーに、
「王様」という女の子をキャッチャーに、
他の全てのチームメイトたちも女子にしようと思いついた瞬間、
物語は一気に走り出しました。

「キャンディと王様」という曲をまず作ると同時に、小説の執筆を始めました。
執筆に当たっては北京留学も挟んだため数年かかりましたが、
気がついたらほぼ処女作にも関わらず40万字を越える大作になっていました。

あの二人の女の子がいなかったら、「キャンディと王様」がいなかったら、
この作品は無かったし、私はそもそも小説すら書いていないと思います。
だからあの女の子ふたりに、尼崎という町に、路上ライブした尼崎市記念公園に、
とても感謝しているし、出来ればその感謝を分かりやすい形で示したいものです。

1つ残念なのは、私はまだあの二人に「キャンディと王様」という曲を
披露できていないことです。
もう10年ぐらい前なので、当時は中学生ぐらいだったあの子たちも
もう二十代も中盤で、結婚とかして子どもとかもいるかもしれません。
私のことも忘れているかもしれません。
でも私は忘れてないよ。いつでも「キャンディと王様」を歌うたびに思い出すよ。
ということを言いたいです。

小説のほうの「キャンディと王様」は、白昼社から発行しています。
全3巻。それぞれ1000円で、まとめて購入すると2400円になります。
書籍版とは別にKindle版もあります。

白昼社が特設ページを作ってくれました。
https://candy-ace.tumblr.com/

PVも作ってくださいました。


「キャンディと王様」がほぼ1作目で、
それからたぶん10作近く書いてきましたが、
今でも「キャンディと王様」が最強だと思っています。

決して明るい作品ではありませんが、
だからこそ最終戦のラストボールに託された意味を
楽しんでいただけると嬉しいです。

ぜひぜひ、路上ライブも、小説も、今後ともよろしくお願いいたします。