「ウソツキムスメ」(泉由良)のこと。

というわけで今週末日曜日に京都で開催されます「文学フリマ京都」。
http://bunfree.net/?kyoto_bun01

おとなりの白昼社さんのオススメアイテムを書いていこうかと。

「ウソツキムスメ」
https://c.bunfree.net/p/kyoto01/7208


幻想と少女を描いた純文学だと思う。
嘘をつく、ということは、夢を見る、ということを包含している。
逆はそうではないので、嘘をつく行為は夢を見て終わる。
そんな嘘から始まり、夢で終わる短編が8つ。

少女は嘘をつく、と言い切っちゃうとなんだか怖い気がする。
脆く繊細な飴細工を手で掴み粉々にしてしまう気がして。
少しだけそんな怖さを感じる小説たち。
基本的に、泉由良の小説は「怖い」。
それは暴力ではなく、気が付いたら足元を浸し首元まで迫る
水のようなもの。
透明な純水。窒息する寸前、に、物語は終わる。

一番好きなのは「ナナンタさんの鈴の音」。
ナナンタさんのような、無条件にかわいがってくれる大人がいて、
それに少女や、あるいは少年だった私たちは救われた。
それぞれにとってのナナンタさんは必ずしも実在ではなく、
やはり幻想や、嘘のなかにいるような、今思い出すと不確かにも思える
記憶のなかでだけの、実在。