今年読んだ同人誌で打線組んだ

毎年恒例のこれやります。

去年のはこちら。

http://d.hatena.ne.jp/slymelogue/20151226
1.「少女幻想譚」(遊)−伊藤なむあひ
2.「さよなら」(二)−こんにゃく
3.「ミニチュアガーデン・イン・ブルー」(右)−キリチヒロ
4.「METEOR EP」(一)−木野誠太郎
5.「ことわりさん」(三)−壬生キヨム
6.「ジェミニとほうき星」(中)−高梨來
7.「エレウシスの出血(上)」(左)−黒井メラ
8.「autococktail耽美」(捕)−白昼社アンソロジー
9.「ともだちの国」(投)−にゃんしー
まあ「面白かった本」というよりは、
「1年を振り返ったときに思い出深い本」という感じですね。

そこでいくと、今年はこうかな。
1.「ぎょくおん」(右)−オカワダアキナ
2.「月光浴」(左)−彩村菊乃
3.「ヴェイパートレイル」(中)−凪野基
4.「はばたく魚と海の果て」(一)−キリチヒロ
5.「いつだって溺れるのは」(DH)−豆塚エリ
6.「サッカと居たこと」(三)−珠宮フジ子
7.「潮伽縮む里」(二)−壬生キヨム
8.「ゆめのむすめ」(遊)−孤伏澤つたゐ
9.「soyogui、その関連」(捕)−泉由良
0.「赤ちゃんのいないお腹からは夏の匂いがする」(投)−にゃんしー
1番。出塁率(?)を重視して、「ぎょくおん」を選びました。
この本、エンタメか純文学か分からないですよね……。
僕はエンタメかなと思うんですが。
読んでいて楽しいですから。
キリさんもおっしゃってたけど、演劇的だなあと思います。
主人公の語り口調がよい。
BL的要素もありますが、私としては姉と弟のきょうだい愛を推したいですね。
なにより、楽しい本でした。

2番。これは今年読んだ詩歌で一番面白かったかな。「月光浴」。
彩村さんの美しい文章が好きなのですが、
それが凝縮されたようなこの短歌。
ひらのみやこさんが描かれた絵でつくられた
装丁も含めて美しい一冊。
持っていることに幸せを感じるような本です。

3番。あーこれは面白かったですね。「ヴェイパートレイル」。
あまぶんの見本誌試し読み会、ぜんぶ読むと惜しいので
さわりの部分しか読まないように気を付けてたんですが、
気が付いたら全部読んでしまってました。
購入したのはテキレボのときだったかな。
空を飛ぶ、ということに関して
すごく魅力的に書かれた一冊でした。
あと、数年前にも凪野さんの本を実は読んでるんですが、
うまくなったなあ、と(←何様や、てかんじのこと書いてますが)。
いい読書体験をさせてもらいました。

4番。という打順は少し特別なものだと思っているんですが、
この本は今年を振り返ったときに、少し特別な本でした。
「はばたく魚と海の果て」。
ああ、いい本だなー、と。
それはもう、ひたすらに、いい本だなー、と(ボキャ貧)。
これは3部作の3つ目、完結編で、
前2作も大好きだったんですが、この完結編はね。
いいよね、、(ボキャ貧)。
この物語は本当にあったんじゃないかなあ、と思うし、
今もどこかで続いているんじゃないかな、と思うし、
この本を読んだことで、考えること、思いふけることが多くなった。
本の形をした別の何かなのかもしれないな、と思うし、
それは整理できた頃、また話すかもしれない。

5番。これは正確には本ではないのですが、
今年を振り返ったときに入れておきたい作品。
「いつだって溺れるのは」。
太宰治賞最終候補作で、「太宰治賞2016」というムック本に収録されています。
(どうでもいいけど「ムック本」という言葉の意味がいまいち分かりません)
これはすげえ作品だな!と。
小説を書く上でのベクトルが少し変わったと思うし、
こんな作品が書きたいとも思った。
(まあ書けないんですけど)。
新人賞を目指し小説を書く上で、
いまこの本を読めたことがよかったと思うし、意味があったと思うし、
またこれから歩く道の途中で何度も振り返りたい作品です。

6番。ああ、この作品、すごく好き。「サッカと居たこと」。
この本に会えたことで、今年はいい年だったと思えるし、
あまぶんをやってよかったなー、と思う。
あのね、すごくいい作品なんですよ。
好きだなー、て思わせてくれる作品なんですよ。
純愛、というよりはもっとささやかな、もっとフラジャイルな、
恋の物語。
大好きです。

7番。このへんからちょっとおかしな本が入ります。
長打力重視ということでね……。
「潮伽縮む里」。
いや、この本はおかしい!
壬生キヨムさんは何を考えて作ったのかなと思う!
今年読んだおかしい本のうち、3本の指に入る!
(折る指はあと2本だけで、それらは本記事の後に続く……)
でもこんな本こそ読まれてほしいと思うし、
いろんな人と解釈について語りたい一冊。

8番。「ゆめのむすめ」。
作者のつたゐさんは「平常運転」って言ってましたが。
えー?
めちゃめちゃコーナー攻めてますやん。。
この本の内容を全て理解することは出来なくて、
なんかダンジョンのなかを冒険しているような心持ちでした。
そう、ダンジョンなんですよ。冒険なんですよ。
何が出てくるか分からないあの感覚。
宝物を開けたらミミックだった、みたいな。
その感覚を共有したくて、いろんな人にお勧めしたい一冊。

9番。「soyogui、その関連」。
小説を書けば安定アンド安定。
でもあんまり新作を出さない泉由良が、久々に出した一冊。
純文学中の純文学だと思う。
ああ、この本も広く読まれてほしいですね。
文学の魅力を伝えてくれる本だと思う。

最後。「赤ちゃんのいないお腹からは夏の匂いがする」。
最後は自作ということで。
ありがたいことに群像新人文学賞の一次を通過しまして
(つまり二次は無理だったということなんですが)
5月に50部発行したところ、半年もたずに売り切れてありがたいことです。
結構好意的な感想もたくさんいただきました。
「この線でせめていこう!」とある程度自分の方向性を決められた作品でもあり
(といいつつ、この後2作はめちゃめちゃ迷走してるんですが)
少し自信がもてた作品でもありました。

そんな感じですかな。
あ、あと、
「ポエムの墓」「ともだちの国」「赤ちゃんのいないお腹からは夏の匂いがする」は
全て完売となっているんですが、10部ずつだけ再版しようと思います。
間に合えば文フリ京都から頒布しますので、よければご購入ください。

今年は素敵な作品を届けて頂き、また私の作品を読んでいただき、
改めてありがとうございました。