第33回フリーワンライ企画

企画に参加します。 お題から好きなだけ選んで、60分以内で書くやつな!

【第33回フリーワンライ】本日のお題
構え、構え!構え!!
最初からやり直すには
欠けた愛
夢にまで見た
世界五分前仮説
この中から一つ以上選んで執筆してください!22:30より開始です! #深夜の真剣文字書き60分一本勝負
選んだお題は「欠けた愛」「世界五分前仮説」の2つです。
ほいじゃーいきます!



大きな力を支えきれなくなって空が落下し
世界は終わりました。
まんまるかった地球は平らになって
どこまでも広がる鏡のような大地でした。
大地には、
49匹の豚と、49匹の犬と、
1人の天使と、1人の悪魔だけが残りました。
唯一理解する知能を持っていた天使と悪魔は、
本当の終わりが近いことを知りました。
豚も、犬も、天使も、悪魔も、
みなが女の子だったからです。
等しく愛する術がありませんでした。
悪魔は、生きようとしました。
天使は、死のうとしました。
しかしそれらを許すためのあらゆる全ては、
即ち食べ物も、ナイフも、水も、毒も、
そこには存在しませんでした。
あったのは、太陽と空気だけでした。

さいご、
49の豚の死骸と、49の犬の死骸に囲まれて、
天使と悪魔は身体を寄せ合ったまま、話をしました。

「ねえ」
「なに」
「なにしてんの」
「息してる」
「私も」
「はは」
「……」
「……」
「ねえ」
「なに」
「あと、5分だけ生きたい」
「……なんで?」
「あと5分経ったら、太陽が一番高いところまで昇る」
「……それで?」
「笑っていいともが、始まる」
「はは」
「……」
「……」
「明日、また来てくれるかな?」
「……いいとも」

天使は、何も言いませんでした。
悪魔は、何も言いませんでした。

天使の薄桃色の手と、悪魔の赤褐色の手が繋がったまま、
ふたりは、もう動きませんでした。

(了)