「沈黙のために」by正井、読んだった。

というわけで、文フリ大阪で手に入れた書籍
「沈黙のために」を読みましたた。

著者の正井さんとは、ウェブ投稿企画「言葉でハートを打て!」で
詩を読ませてもらったのがはじまり。
以降、私の中で正井さんは「詩」のイメージだったんですが、
書籍「沈黙のために」に収録されているのは短編ということで
わくわくしながら開きました。


縦長の装丁。新書っていうんですかね。
シンプルな装丁がかなりかっこいい。
中身の文字の並びも端正で、
のっけから文章の美しさを想起させました。

収録されているのは
「フォスフォレッセンス」「E」「沈黙のために」
「冬の群、馬数ある中の」「些少で微細な宇宙の歴史」「夜明けの手紙」
の6つ。
どれも20ページ程度。

「フォスフォレッセンス」「E」は、わりと読みやすいかな。
純文学系と思うのですが、シンプルかつ綺麗な言葉の並びになっていて
内容と言葉と、それぞれの妙を味わいながら
楽しく読み進めることができる。

ドーン!と来てしまったのが、3個めの「沈黙のために」。
これねー、すごいよ。
いうたら難解めの作品なのですが、すごい楽しい。
タイトルの「沈黙のために」というのはなんなのだ、
読者がのめり込んで「沈黙」してしまうということなのか。
幻想的な世界観を描くに足りて余りある、
ある意味で乱暴な筆致が胸のもっとも弱いところを正確に突いて
きゅうと虜になってしまう。
酔わされました。

残りの3つの作品もおもしろい。
タイプの違う作品がそれぞれ収録されているので、
アンソロジーみたいな楽しみ方ができる。
買い、の1冊。