「ツーピース」by霜月みつか、読んだった。
文学フリマ大阪、感想第二弾。
わいのわいの。
今日書くのは霜月みつかさんの「ツーピース」という書籍です。
霜月みつかさんの作品は、「絶対移動中」というアンソロジーで
短いものを読んだことがあるのですが、単著で読むのははじめて。
アンソロジーのときは猫をテーマに作りこんだ児童文学然とした作品でしたので、
彼女本来の作風が見られるのもはじめてではないかと期待を膨らませ
本を開いたわけです。
あ、そのまえに。表紙がめっちゃいいんです。
いろっぽいでしょ?
「ツーピース」というタイトルなのですが、
男×女、女×女、男×男の、
それぞれの「相手がいなくてはならない恋愛関係」を
ぎりぎりの果敢失い筆致で描いたものです。
表紙は男×男バージョンですけど
裏表紙は女×女だね。
女×女も、男×男も、かなりよかったんですけど、
最初の男×女「1LDKプラネット」が良過ぎた。
結構ぼくは組版がどーとか表現がどーとか誤字脱字がどーとか
どーでもええとこに突っ込み入れながら読む性格の悪いタイプで
この本もそのようにして読み進めていったのですが、
途中から完全に理性を失って入り込んでしまいました。
第一の特長として、文体が軽快で読みやすい。
流すようにして読み進めることができるんですが、これが罠。
作りこんである作品のイメージがものすごいフェティッシュで好きになってしまうもので、
気が付いたら囚われの身ですよ。
ほいでこの作品、展開の変化のさせかたがすごいうまい。
一定の狂気を保ちながら、希望と絶望をほどよく回していく。
その加減を味わっているうちに、……ああ、エンディングについては伏せとこうね。
僕はハッピーエンドだと思います、たぶんね。
結論。むっちゃおもろいやないか。
唸らされました。