アニメ映画「パプリカ」感想(※ネタバレ含む)

アニメ映画「パプリカ」を見ました。

2006年作品かー。
もうずいぶん前になるんやね。
そんで、監督の今敏さんはもう亡くなってるんやね。
残念です。

他人の夢に入り込める機械を中心にしたお話です。
元々それは、精神治療とかいい方面に使うことを意図して作られたんだけど、
夢を支配しようという悪い人間が出てきて、それとの戦いというのが本筋。

主人公の一人、千葉敦子は、他人の夢に入り込んで治療するセラピスト。
でも自分自身の夢は見ない。
他人の夢に入り込むときだけ、夢の少女「パプリカ」に変化する。

この千葉敦子/パプリカの関係性がいい。
映画のみならず作品は、あるひとつの面白さの支柱が必要で、
それがどれだけ重厚であるかどうかに作品全体の質が関わってくると思うのですが、
その点で、千葉敦子/パプリカの存在は申し分ない。
いわゆる理系女性で、現実的・硬質的な千葉敦子。
そんな彼女が一方で「パプリカ」という夢見る少女らしい一面を持っている点、
そしてその狭間で揺れ動いているという点はどきどきする。

全体的には、「夢と現実」というわりと手垢のつきまくった素材。
でもやっぱり王道なので、この作品くらい上手く料理されてると、
がっつり引き込まれてしまう。
子どもも大人も好きやからね。「夢と現実」。
特に大人は叶わなかった夢を思い出して、ほろりとくることもあるのでは。
最後に映画館に入るときの「大人、一枚」ていう台詞で映画が終わるのは、
そういう意味で泣かせる。

「ワンプレー」が目立つのは気になった。
ようはパンチライン(印象的な台詞)や特殊な映像効果とか、
ある単一の要素によって作品全体を面白く見せようとする技巧。
確かにそういうのがあると見栄えがいいんだけど、
一瞬だけで後に残らないので。
もっと細かい人物・ストーリー描写も見たかったかなあ、と。